
工場やビルの設備を見ていると、長く現場にいる人が「なんかおかしいな」と気づいて、大きなトラブルを防いでくれることがあります。これって、数字に表れないような、ちょっとした音の違いやにおいの変化、空気の違和感を感じ取っているからなんです。
いわゆる「勘と経験」です。
最近はIoTという技術がいろんな現場に広がっていて、センサーでデータを集めたり、機械の動きを見守ったりしています。でも、そんなベテランの“勘”って、機械でも再現できるものなのでしょうか?
- 目次
-
- 1.「勘と経験」ってどういうこと?
- 2.IoTで再現できることって?
- 3.でも、人の感覚まではまねできない
- 4.IoTに頼りすぎると落とし穴もある
- 5.勘と経験をIoTに活かすには?
- 6.まとめ
「勘と経験」ってどういうこと?
ベテランの人って、何かを見ただけで「これはそろそろまずいかも」とか「この機械、少し変だな」と気づきますよね。それはたくさんの現場を見て、いろんな状況を体で覚えてきたからこそできることです。マニュアルには書いていない、でもすごく大事な判断力。これが「勘と経験」です。
たとえば、音がいつもよりちょっと高いとか、ほんのり焦げ臭いようなにおいがするとか。そういう微妙な変化を感じ取れるのは、やっぱり長年の積み重ねがあるからです。
IoTで再現できることって?
IoTでは、温度や振動、回転数など、数字で表せるものをセンサーで集めることができます。たとえば、モーターがいつもより震えていたら「故障の前ぶれかも」とすぐに教えてくれるようになります。こういう“目に見える”部分は、IoTがとても得意なんです。
実際、IoTを使えば、人の目が届かないような場所もモニターできるし、データを記録して「いつから調子が悪くなってきたのか」も分かるようになります。こういう意味では、「勘と経験」の一部は機械でもまねできるようになってきていると言えます。
でも、人の感覚まではまねできない
とはいえ、「すべて」を再現できるかというと、そう簡単ではありません。
たとえば「この音、なんかイヤな感じがする」とか、「空気が重いな」みたいな、目に見えない感覚ってありますよね。こういう部分は、今のIoTではなかなか捉えられません。
たしかに、においや音を測るセンサーもあります。でも、それが「いつもと違う」と判断するのはまだ人間のほうが上手です。何より、「このままいくと危ないぞ」と直感で気づくのは、たくさんの
経験があるからこそ。そういうひらめきは、今のところ人の感覚に頼るしかありません。
IoTに頼りすぎると落とし穴もある
「IoTがあるから安心!」と思って、すべてを機械任せにしてしまうと、かえって見落としが起きることもあります。たとえば、数値が基準を超えていなくても、実は異常が始まっていた…なんてことも。
また、データを集めること自体は簡単でも、そのデータをどう読み取るか、どんなふうに使うかが大事なんです。ただセンサーをつけただけでは、意味のある判断はできません。
勘と経験をIoTに活かすには?
じゃあ、「勘と経験」はIoTに役立たないのかというと、そんなことはありません。むしろ、IoTに“人の知恵”を組み込むことが大事なんです。
たとえば、ベテランが「この音は危ない」と感じたときの録音を残しておいて、似たような音をIoTが検知したらアラートを出すようにする。そんなふうに、ベテランの感覚を少しずつデータにしていくこともできます。
それに、IoTで集めたデータを「どう読み取ればいいか」をベテランが若い人に教えていけば、現場全体の判断力も上がります。つまり、IoTと人の力は“どちらか”ではなく、“一緒に”使うのが一番強いんです。
まとめ
「勘と経験はIoTで再現できるのか?」という問いには、「一部はできるけれど、全部は無理。でも、組み合わせればもっとよくなる」というのが正直な答えです。
IoTは、ベテランの知恵を残すための道具にもなりますし、若い人の成長を助ける道具にもなります。人の感覚と機械の力をうまくミックスして、もっと安心で強い現場をつくっていくこと。それが、
これからの現場づくりに必要なことなのかもしれませんね。
弊社では、IoT機器を販売・開発しております。ご相談やご質問をお待ちしております。お気軽にお問い合わせください。